人材育成と「目標や考え方」の重要性
時間と労力がかかるわりに、すぐに結果が出るとは限らない人材育成。ついつい後回しにしがちですが、人材育成は企業の成長に欠かせません。人材育成を手間だと考え、積極的に取り組まない企業に成長はない。残念ながらこれは事実です。
人材育成の必要性を理解していても、やみくもに行っているようでは良い結果は出せません。企業の人材、コスト、資源のムダ遣いになってしまいます。
では、成功する人材育成には何があるのでしょうか。さまざまな視点がありますが、ここでは適切な目標、つまりゴールを定めることについて考えてみましょう。「目標や考え方」が成功にどのように寄与するかを詳しく解説します。
そもそも人材育成とは
一言で「人材育成」といってもどのような手段、内容で育成していけばいいか、説明できますか?改めて確認しておきましょう。
企業における人材育成の対象者は組織内の従業員やメンバーであり、業務に必要なスキル、ビジネスパーソンとしての能力や態度、マナーを磨いて成長させ、企業に貢献してもらうことが目的です。人材育成の方法や期間はさまざまであり、1回きりの座学の研修から、数年単位で行う研修、実践を通して育成していく方法、e-ラーニングを活用したものなどがあります。
特に最近は上司が部下に教えるといった、上から下に知識を伝達するだけの育成方法は減ってきており、ディスカッションを通して意識を高めていく、実際に課題を与えたり、トレーニング用の環境を与えたりして実戦形式で成長させていくケースが増えています。
上司や人材育成担当者は、部下やメンバーの実力にあった適切な課題を提供すること、達成までのプロセスを重視し、適宜フィードバックすることが求められます。
社内で人材育成プログラムを作成・運用している会社も多く、その会社独自のスキルや経験を積むためには大変効率的です。しかし、視野が狭くなりがちというデメリットがあります。今は社会の変化スピードが速いので、最新トレンドをキャッチアップすることが欠かせません。ぜひ人材育成に詳しい外部の講師やセミナーも活用してみてください。
人材育成をするメリット
企業の成長に欠かせない人材育成ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
・組織の競争力の向上
従業員のスキルや知識の向上により、一人一人の生産性や発想力がアップ。結果的に組織全体のパフォーマンスが向上していきます。たとえば、営業部門がコミュニケーション力やプレゼンテーション力、マーケティング力を高めていけば売上アップが期待できますし、開発部門や資材調達部門が他業界への視野を広げていったり、知識を深めたりしていけば、新商品・サービスの開発、サプライチェーンの開拓などもスムーズに行えるようになります。
現在、ビジネスにおいてイノベーションや創造性が重視されていますが、何もないところから柔軟な発想が生まれてくるわけではありません。新しいアイデアはさまざまな分野の情報の蓄積や、かけあわせから生まれてくるものです。
また、スキルの向上により業務効率化や業務プロセスの改善も期待できます。ムダな仕事がなくなることで、時間にゆとりが生まれ、発想力など考えることに時間を割くことが可能になります。残業が減少することでコストカットが実現できますし、働きやすい会社だと評判になり、優秀な人材も獲得できます。
人材育成を行うことでプラスのスパイラルを生み出すことができ、企業の継続的な成長を実現するための重要な柱となるのです。
・従業員のモチベーション向上
正社員なら1日8時間、週5日働くという方が多いでしょう。さらに残業が多い方なら、1週間のうちの大半の時間を仕事に費やしています。その時間が楽しい、成長が実感できるという会社だったら、働くモチベーションも高まり人生も充実していきますね。
人材育成が適切に行われている会社では、専門性やスキルが身につき能力を向上させる機会があること、適切に評価されることを従業員が理解しています。考えてみてください。働いても働いても評価されない、自分が会社や社会の役に立っているのかわからないという状況では、転職を考えたくなりませんか?
働きながら成長ができる、キャリアパスの道筋が見えているということは、モチベーション向上に貢献します。企業が従業員の成長をサポートする姿勢を見せると、企業への帰属意識も高まるため、退職者も減少。結果として企業の成長を後押しすることになるのです。
・継続的にリーダーを育成できる
組織にはチームを率いるリーダーが必要です。適切なリーダーがいることで企業の成長スピードを高めることができるため、継続してリーダーを育成していくことが欠かせません。
小さな組織からリーダー経験を積ませ、少しずつマネジメントを学んでいくといった人材育成の制度があると、リーダーを継続して育成することができます。
人材育成における目標の重要性
人材育成のメリットについて理解したところで、具体的な人材育成方法について考えていきましょう。なぜ、人材育成において目標が大事なのでしょうか。大きく3つの理由があります。
1.ゴールが明確になり、企業の成長を促進させる
目標は組織や個人がどの方向に向かって努力すべきかを示す指標です。具体的で、明確な目標があることで、組織全体が同じ方向に向けて動き出せるため、効率的に成長ができます。企業の目標だけでなく、個人の目標も方向性を明確にしておくと、さらに効果的です。
有名な研究結果を紹介しましょう。ハーバード大学のMBA取得者に卒業時、「将来の明確な目標を設定し、実行するための計画を立てましたか」とアンケートを取ったところ、目標設定をしていた人が13%、目標を立て計画も準備していた人が3%、全く目標を持っていなかった人が84%という結果でした。10年後に追跡調査をしたところ、なんと目標を持っていた13%の人は、全く目標を持っていなかった84%の2倍の収入を得ていたことがわかったのです。さらに驚くことに計画まで準備できていた3%の人は、残りの97%を合わせた平均の 10 倍の収入を得ていました。
この結果からわかるように、ゴールを明確にしておくことが成長を促進させます。同時に目標の力の大きさにも気づいたことでしょう。間違った目標を設定した場合、誤った方向に全速力で進んでしまうため、大惨事を引き起こしてしまいます。目標を設定する際は、目指すべき方向を向いているか、常に確認が必要です。
2.目標と現状のギャップが明確になる
ゴールとなる目標を設定すると、達成するためにはどのようなステップが必要なのかを、逆算して考えます。今、何が不足しているか、これから何が必要なのかといった現状をしっかり分析するため、キャップが明確になります。
現状と目標の差がはっきりすると、目標までの道筋も自ずと見えてきます。スモールステップを設定しておけば、誰でも目標までの道筋を理解できるため、目標の効果を最大限に発揮することができます。
目標設定をする際はできる限り数値化し、期限を明確にします。たとえば○月までに○人を採用する、下期に○万円の売上を立てる、年内に1回の作業時間を○分に短縮するなどです。アバウトな目標では、方向性が定まりません。
3.従業員の成長とキャリア開発が促進される
個人の目標を設定した場合は、適切な内容、タイミングのフィードバックを行うことで、成長を促進、モチベーションの向上につながります。また、達成度合いに応じて評価を行い、報酬や昇進の基準にすることで、人事評価も明確になります。
目標達成に重要なこと
綿密な目標を立てても、達成されなければ意味がありません。着実に目標を達成するためには、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。
・適切な難易度の目標を設定する
大きな目標を立てた後、道筋となるスモールステップを作成していきます。スモールステップがない、もしくはスモールステップが大きい場合、なかなか目標を達成できず挫折感だけが残ります。
スモールステップをできるだけ細かく設定することで、目標が具体化してきますし、道筋もよりはっきりするため、全員で内容を共有できるようになります。
・伴走者を用意する
目標達成を1人で達成するのは、精神的に負担が大きく困難を極めます。上司、先輩、同僚など一緒に目標達成に向けて動く伴走者がいる環境を作ることが重要です。役割は監督、チームメート、どちらでも構いません。個人の資質や環境によって、最適な役割を選びましょう。
・衆人環視の状況を作る
個人目標、部署目標など種類を問わず、定期的に達成度合いを多くの人前で発表する機会を設けましょう。目標管理シートを利用するなどして、進捗を見える化しておくとさらに効果的です。半年や1年以上という長期間の目標設定の場合でも、1カ月などの短い期間で達成度合いを確認しておくと、迷走や停滞を防げるでしょう。
目標が順調に達成できている場合は、目標設定が甘い可能性があります。またなかなか達成できない場合は、もう一段階小さいスモールステップにするなど、常に目標の見直しが欠かせません。
常にお互いに確認しあうことで、励まし合えるため継続につながりますし、大きな理由がない限り、目標達成をあきらめることも少なくなります。
人材育成を加速するために
時間と労力をかけて人材育成をするなら、より効果的に、できるだけ最速で行いたいですよね。目標達成を加速させるための施策を紹介します。
・人材育成の目的を組織全体で理解・共有する
トップだけが人材育成の必要性を感じているようでは、効果は薄いままです。管理職から一般社員にいたるまで、人材育成が重要な経営課題であることを理解してもらえるよう、定期的にメッセージを発信しましょう。
管理職やリーダーが「トップが言っているから」「会社の方針だから」といったセリフを言っているようでは真の共有ができていません。人材育成の重要性やメリットが社内の隅々まで浸透するよう、繰り返し説明することが大切です。
・人材育成を行うことによるメリットを伝える
管理職なら、メンバーが成長することにより部署の成績が向上するだけでなく、管理職のマネジメント力の向上と判断され昇進、昇給が期待できます。一般社員ならスキル向上により成績や評価があがることで、昇進・昇給の可能性が高まります。また、会社の成長によりボーナスや待遇の向上も期待できます。人は目の前にメリットがあると思ったら頑張れるものです。
・システムや仕組みによって効率化させる
新たに人材育成システムを導入した場合、目標設定業務のほか、フィードバックの機会や面談といった管理業務が増えるため、社員によっては負担が大きくなったと感じる人もいるでしょう。また、部署によって管理手法が異なると成果にばらつきが出る可能性があり、社内全体で公平な評価が行われなくなります。面談の日程を固定化する、目標監視シートや評価基準を統一するなど、社内でできる限り標準化、効率化させることで負担感を大きく軽減できます。
目標達成のためにeラーニングも活用を
日々の業務を行いながら、社内で人材育成プログラムを全て行うのは業務負担や時間の面からみても困難です。セミナーやeラーニングをぜひ活用してください。
講師はさまざまな立場から目標設定のアドバイスや目標到達に向けて行うべきことなどをアドバイスするため、適切な課題を提供し成長を促すことが可能です。eラーニングなら学ぶ場所も時間も選びません。
MASTでは、セミナーもeラーニングも提供
「人で、苦しむ人をなくし、クライアントのビジョンの達成に貢献する。」をビジョンに掲げ、一般企業・自治体・医療・福祉業界の人材育成、採用戦略、経営を総合支援しているMASTでは、研修の実施や講師の派遣、eラーニングの提供を行っています。
セミナーでは、双方向型によるコミュニケーションを重視。講師が一方的に話すのを聞くだけでは知識は定着しません。こまめに受講者がアウトプットする機会を設け、知識の定着を促進させます。また、ビジュアライズ(見える化)も強化しており、耳から聞くだけでなく、視覚からのインプットを促します。
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