人材育成と成功するマネジメント

成功している企業は業界を問わず、優れたリーダーシップと効果的なマネジメントが存在しています。つまり企業として発展や成功をしたいならば、売上や実績を上げることだけに注力しているのはNG。リーダーシップがありマネジメントができる人材を育成、効果的なマネジメントを行える環境や仕組みを整えるという視点が欠かせません。

人材育成、環境づくりはすぐに結果が出るものではないため、後回しにしがちです。しかし時間がかかるからこそ、気づいた瞬間から取り組むことで競合他社と差をつけることができます。

ここでは、人材育成と成功するマネジメントの関係に焦点を当て、その重要性と実践方法について紹介しましょう。

1.人材育成の重要性

少子高齢化が進む日本では働き手が減少し、新規の人材を確保することが困難なため、既にいる人材を育成するという視点が重要です。また、新規採用や新人教育の負担を考えると、既存の人材を育成は負担が少ないというメリットもあります。

人材育成を行うと個人の資質やスキルが高まり、チームや企業としての成績も向上。結果として企業の競争力が増し、変化の速い現代社会を勝ち抜けるようになるのです。

2.マネジメントとの関係性

人材育成のメリットがわかったところで、なぜマネジメントとの関係が重要になるのでしょうか。

企業の人材育成には目標や目指すべき姿があります。個人や部署ごとに精力的に人材育成を行ったとしても方向性がバラバラの場合は効果が薄く、せっかくの努力が実を結びません。また、定期的にスキルチェックを行わないと正しく育成ができているかの判断ができませんし、スケジュールが明確をしておかないとゴールが見えずモチベーションも下がってしまうでしょう。

だからこそ、現在のスキルや状況を客観的に分析、育成方針を立ててスケジュールの管理、定期的なフィードバックといったマネジメント業務が欠かせないのです。

ここで、マネジメントの具体的な進め方を紹介しましょう。

まず、自社の置かれている状況を踏まえて人材育成の目標を明確化します。その後、部署やチーム単位に細分化し、具体化。目標達成に向けたスモールステップを作成していき、スケジュールに落とし込みます。面談やフィードバック、スキルチェックを定期的に行い、必要に応じてスモールステップも見直します。

どうですか?通常の業務を行いつつ、社員一人一人が自らを管理しながらスキルアップをしていくのは、あまりにも負担が大きいですよね。人材育成の質やスピードを高めるためには、マネジメントが欠かせないということを理解いただけたと思います。

マネジメントが必要ということは、人材育成するマネージャーの資質が人材育成を左右するとも言えます。

3.マネジメントの成功の秘訣

人材育成を効果的に行うには、まずマネージャーの育成が必要です。現在、マネジメントを行っている人材は、人材育成について経験や知識がある方でしょうか?自分の部署の実務管理には詳しいけれど、人材育成は苦手、育成研修すら受けたことがないという方はいませんか?人材育成のマネジメントには専門的な知識が必要です。

・人材育成マネージャーを育成する
プレイヤーとして優秀な成績を収めた人がマネージャーや管理職に昇進していくという企業が多いでしょう。既に気づいている方もいるでしょうが、優秀なプレイヤーが優秀なマネージャーになれるとは限りません。プレイヤーに求められる資質とマネージャーに求められる資質は大きく異なります。なかにはプレイヤーとしての成績はいまいちでも、面倒見がいい、教育が上手など人材育成マネージャーとしての資質を持った人材もいます。

まずは一人一人の資質を見極め、本人の希望も聞きながら人材育成マネージャーを育成することから始めましょう。個人同士の相性があるため、優秀なマネージャーを多く育成することが企業の発展には欠かせません。

・マネージャーの負担を軽減させる
人材育成専門のマネージャーを各部署に配置できればよいのですが、実際には厳しいでしょう。そのため、マネージャーには他の実務をこなしながら人材育成も行っていくという使命が課されます。

人事部など企業の人材育成に責任を持つ部署では、各部署のマネージャーの負担を軽減させるため、目標管理シートの導入、詳細な評価基準の設定といった施策が必要です。また、部署を異動しても継続的に人材育成が行えるように、評価基準や育成目標は社内で統一されていることが求められます。

・育成目標を明確にする
企業として人材育成のゴールを明確にしておかないと、どのように人材を育成していったらよいかマネージャーがわかりませんし、育成される社員も混乱します。育成目標と育成する理由を明確にし、社内で周知しておくことが欠かせません。

・評価制度を明確にする
不明瞭な評価制度では社員からの不満がたまります。評価基準がわからない、結果を出していても評価されない場合はモチベーションが下がります。企業として成果主義、プロセス重視、勤務意欲や職務に臨む姿勢と重視する情意主義など、重視する姿勢を明確にすることで、人材育成のスピードを高めることができます。

・中長期的な目線を持つ
人材育成は短期間で結果が出るものではありません。短期視点しか持たない場合、目先の目標達成だけにとらわれてしまい、普遍的なスキルや臨機応変な対応力に乏しくなりがちです。企業やマネージャーには常に中長期な視野で考え、取り組むことことが求められます。特に上場企業の場合、毎期の決算で結果を出すために短期的な戦略に走りがちなので注意が必要です。

・PDCAサイクルをしっかり回す
育成方針や評価制度、目標を作成した後、しっかり実行できているかチェックをしていますか?作成したら後は現場や個人にお任せと放置していませんか?

人材育成においても、通常のビジネスと同様PDCA (Plan-Do-Check-Act )のサイクルが欠かせません。プラン(Plan)がどんなに立派でも、実行(Do)されなければ意味がありません。また実行されたらチェック(Check)して次の対策や改善(Act)をすることで、効果的に人材育成を行うことができます。

チェックを行うと達成度合いが把握できます。達成度合いによっては、目標をさらに高めたり、もしくは一段階落としてゆっくり進めたりと、プランの見直しが可能。より現実的で実現可能な人材育成プランができ上がっていき、ゴールに効率的に近づくことができます。

4.マネージャーに求められるスキル

会社全体のマネジメントのポイントを踏まえたうえで、マネージャー一人一人にはどのようなスキルや視点が求められるのでしょうか。

・メンバーの現在のスキルを正確に把握する
人材育成のスタート地点は人によって異なります。まずはメンバーの現状のスキルを把握し、長所や短所も踏まえ、適切な目標を設定することが重要です。高すぎる目標はなかなか達成できないためモチベーションが下がりますし、低すぎると大きな成長が期待できません。

理想なのは、ちょっと背伸びしたらできるレベル、少しだけ周囲がサポートしたら実現できるレベルです。この“背伸びした分”だけ成長をしていくことができます。これを繰り返していくと、苦しい思いをすることなく長期的に大きく成長をしてくことが可能です。

どのあたりが“背伸びした分”になるのかを判断する力がマネージャーには求められます。

・一人一人に合わせた適切な目標を設定する
マネージャーには企業やチームの目標を達成するという使命があるため、企業やチームの目標を個人のレベルに合わせて落とし込み、適切な目標を設定する必要があります。

若手から中堅まで、さまざまなレベルの部下がいる中、一人一人に合わせて対応するのは大変な作業です。しかし、適切な目標設定を行うと加速度的に人材育成の効果を高めることができます。経験を積んでいくと優秀な人材育成マネージャーとして会社での評価も高まり、人材開発の責任者やCLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)への道も開けていきます。

・高いコミュニケーション能力
人材育成に力を入れると、一般社員は通常の実務に加え、人材育成のために学ぶことになります。負荷が増えるため、嫌がる社員もいるでしょう。人材育成の意義や目標、内容をかみ砕いて伝えモチベーションを維持することもマネージャーの仕事です。

また、育成度合いをチェックするために定期的な面談やフィードバックを行います。正確に達成度合いを話してもらうためには日ごろの良好なコミュニケーション、信頼関係が欠かせません。時には厳しいことを言わなければならないこともあるでしょう。相手にやる気を出させる伝え方、困っていることや悩みを聞き出す力など、マネージャーには高いコミュニケーション力が求められます。

・スケジュール管理能力
人材育成の目標達成までのスケジュールの作成、マイルストーンの設定、進捗状況の把握など、個人単位、部署単位でのスケジュール管理能力も欠かせません。進捗具合によっては、スケジュールの再設定など臨機応変な対応も求められます。

5.代表的なマネジメント手法

より具体的にマネジメントをイメージできるよう、代表的なマネジメント手法を紹介します。既に取り組んでいるものも含めて参考にしてみてください。

・OJT(On the Job Training)
職場で実務を行いながら育成する手法です。既に導入している企業も多いのではないでしょうか。実務と教育を同時に進められるというメリットがある一方、マネージャーの負担が多くなりがちです。

・Off-JT (Off the Job Training)
セミナーや社内研修を通じて人材育成を行う方法です。実際に経験しない内容でも効率的に知識やノウハウを習得できる点がメリットです。また、1回のセミナーや研修で多くの人に知識を伝えることもできます。デメリットとしては、研修に参加するために実務が止まり、人材のやりくりが必要になること、外部のセミナーを活用する場合には費用が発生することが挙げられます。

・自己啓発 
企業側のコストはほぼ0であり、育成の方向性、達成度合いは社員一人一人にかかっています。そのため、企業が求めるものと一致するとは限らず、また従業員のモチベーション次第で大きな差が出るのが特徴です。

・目標管理制度
一人一人に目標を設定し、達成度合いに応じて評価をします。そのため成果主義の職場では非常に相性がよく、導入する企業が増えています。一方で、評価と連動するため達成しやすい目標を設定しがちであり、長期的な視野が欠けるケースが多々あります。マネージャーによる適切な目標設定が求められます。

・eラーニング 
場所や時間を選ばずに学ぶことができるため、急速に浸透しています。企業側としても進捗状況の一括管理が可能ためメリットが多い手法です。しかし、学習している様子が見えない教材があるため、質の高い教材選びが結果を左右します。

・1on1ミーティング
目標設定や進捗状況の確認を行う1対1の面談は、週に1回、月に1回などあらかじめ期間を定めておくことがポイントです。マネージャーが一方的に伝えるよりも、メンバー自身に考えさせて能力を引き出すといったコーチングに近い視点が求められます。メンバーが多い場合、マネージャーの負担が大きくなるため注意が必要です。

・メンター制度
OJTは同じ部署の先輩が後輩を指導するというケースが一般的ですが、メンター制度の場合は、基本的に他部署の先輩が相談にのったり、メンタル面のフォローをしたりします。そのため、OJTより負担が少ないことがメリットです。また他部署の知識も得られるため、メンターとサポートを受けるメンティー双方の視野が広がります。しかし、実務の上司との「2人上司状態」になりやすく、方向性が異なった場合はメンティーに混乱が生じます。

人材育成に強いMASTがサポートします

一見関係がなさそうな人材育成とマネジメントですが、実は密接に関わっています。しかし重要性がわかっても、実務を行いながら取り組むのはハードルが高いのも事実。その場合は人材育成に強いMASTにお任せください。

豊富な経験をもとに次世代管理職や新任管理職を早期に育成し、安定して優秀な管理職を生み出していくノウハウがあります。明確なキャリアビジョンを提示することでマネージャーや候補生のエンゲージメントの向上、離職予防にもつながります。

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